すべては競馬のために

真夏の谷中特集第4回(最終回)です。谷中は上位騎手はみんな上手いのだから、中堅以下の騎手にも何らかの方法でチャンスを与えてやるべきだという立ち位置。上位騎手に勝ち星が集まっていけば当然下の方の騎手にそのしわよせがいく。騎手は勝てなくても食っていけるとはいえ、そのような格差の激しい状況は健全とは言いがたい。谷中は全盛期の過ごし方を間違って負け組騎手に転落したが、足を痛めて引退した谷中を助手として再び拾ってくれたのが古巣の阿部厩舎だったとのこと。かつて谷中が不平を言って自分勝手に飛び出していったのにもかかわらずといういい話。現在の谷中は阿部厩舎のリーダー格となって立派にやっているご様子です。
厩舎での仕事に対する考え方や、馬の状態・調教にまつわる様々な知識などさすがプロだと思わせます。そんな元・騎手で現・厩舎のリーダーが着拾いをはじめとするヤリヤラズについて何も知らないということは考えにくい。また、きわどい八百長ともなれば強力な信頼関係の元に行われているはずで、人間関係を重んじる人間や暗黒時代を経験したことがある人間ほど、そのような秘密を積極的に漏らすはずがない。さらに谷中の競馬への愛は思いのほか深く、ファンによって競馬が成り立っていることもちゃんと理解している。ディープインパクトに本命以外の余計な印がつくだけでファンへの悪影響があると考える人が、競馬に八百長があるなんてことを口が裂けても言うはずがないのである。この本の根底にあるのは競馬と騎手に対する深い愛情なのだ。そう考えればむしろ言えるだけのことは言っているようにも読める(前述の昔はあったとか)。なんかすぐ怒る人みたいだからおれも見つかったら当然相当怒られると思うけど、文句は無いのでしっかり正座して怒られたいと思います笑。
素人で部外者のおれが競馬に八百長があるという確信はもちろんありません。無いなら無いにこしたことはない。おれが心配するのは、社会的に別にやらなくてもいい遊びでしかない競馬なんぞに付き合ってせっかく馬券を買ってくれた人が意味不明なレースによって、競馬から離れていくことがあっては一大事だということなのです。だからファンの目なんて簡単にごまかせると思われないように、おかしなことは見逃さないという心構えが必要なのだと思うわけです。競馬マスコミは立場上とてもじゃないけどそんなことは思っても言えないわけだしね。そういうわけでおれなんかよりちゃんと競馬を見守っている方々にはぜひ頑張ってほしいと思っているわけでございます(人任せ。以上です。